栄冠を獲得した不動のポジション旬のとうもろこしをムースに仕立てた極めて食欲をそそるアミューズに舌鼓を打ちながら、よく冷えた白ワインなどで喉をうるおしていたとき、そのいかにも美食に慣らしてきたであろう同席の方が、ふと気軽な感じで尋ねる。「あのさぁ、食べ物で何が一番好き?」「え…(しばし絶句)。な、なんでしょうね…出てきません…(軽く落胆)」と答えると、「おれはねぇ、考えたんだけどとうもろこしだってことがわかったんだよね!」とちょっと胸を張るような誇らしさで言う。「実はこの手の何が一番好き?っていう質問が、地味にあちこちで聞かれることが多いと思うだよね。それで、時と場合によって適当に答えてたんだけど、あるとき決定打を持とう!って決めたわけ」。「ふんふん」「それで、あ...27Jan2019FOOD
金曜だ!「きみよ、庶民の乾杯にもっともふさわしい」「庶民の」とか「市井の」という表現を、気に入ってあえて使う。たとえば、お祝いといえばシャンペンがつきものだけどビールほど「庶民の祝い酒」としてふさわしい酒もない。共通するのは、いずれも泡。一方はきらめくようにして細かく立ち上る儚い無数の泡であり、キャンバスはゴールドの繻子のよう。もう一方は大胆にもりもりと、入道雲のように湧き上がる泡。麦の実りそのままの黄金色の液体は蠱惑的ですらあり。もとよりお酒があまり好きではなかった私は、シャンペンの飲みやすさに助けられながら、そしてその華やかなムードに酔った。いかにも華奢な細いフルートグラスをささやかに持つさまもなんだかとても女性らしい飲み物だと感じていた。ファッション誌の仕事をしていたこともあ...10Aug2018FOOD
あなただけは絶対に裏切らない。信頼の「ガリガリさん」ガリガリ君なんて気安く呼べないよ。ガリガリさんだよ!と常日頃、思っています。だってあの企業努力…。高くって美味しいなんて当たり前。あの安さで美味しい、かつ独創的なフレーバーへのチャレンジ。ガリガリさんには飽くなき開拓者精神があふれています。それなので私は、帰り道のコンビニでアイスケースをちらっとのぞくのを常にしています。そうして、ガリガリさんが新たなフレーバーを出そうものなら、手紙を受け取るようにして、あるいはプレゼンを恭しく拝聴する心持ちで手に取り、レジへ向かいます。顔も知らぬ開発責任者さんと現場で四苦八苦する社員さんたちの絵。「やり直し!こんなのただの歯磨き粉じゃないか!いいか?チョコミントってのはな、バランスが命なんだよ!チョ...16May2018FOOD