刹那よ止まれお前はいかにも美しいから

窓を開けましょう。

photo by JohnONolan

窓を開けて、風を入れかえて頭のなかの風通しをよくしよう。


1年のうちで、こんなにも風が心地よい季節があるだろうか

ってほど、5月の風は特別です。


5月の風だけは現在を感じさせるのです。


春先の風は「もうちょっと。もうちょっとしたら暖かくなるぞ」とか

少し先の未来を想像させるから胸がときめきを覚えます。


そよりとも風の吹かない季節はとばして、

涼風が立つころ、最近は10月あたまでも残暑が残っていたりしますけれど

きりりとした風が吹きすぎて「あ、秋がくる」と思うそのときにも、

やっぱり心は少しだけ先の季節を予感していて

今を感じることは少ないと思うのです。


それがどうでしょう、5月の風の「いま」といったら。


心地良さに身をひたして、今あることに感謝したくなる。

そんなふうにして、現在進行形に軸足を置かせる5月の風を

私はこよなく愛します。


日々たまっていく心の滓も

抜けない疲労も

凝り固まった思考も

傷も歓びも、


吹き飛ばしてしまえ、5月よ!


箱草子仮名手本。

泡沫のように浮かんではパチン、と消えていく。 その「束の間」にピンを指して標本にしてしまおう。

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