「それは、適応術のひとつですよ」と言ったのは
同年代のアートディレクターだ。
何の話かって言えば、わたしだ!!笑
photo by Nina Matthews Photography
20代の後半まで勤務していた結構大きな広告代理店で、
24歳くらいの頃、会社は数年後に大きな変革を迎える前夜のような時期で
いろいろと牧歌的な面が多々見られた。
たとえば、定年を控えた世代…、つまり
高度成長期を、働き盛りとして支えてきた方々がたくさん職場にいらして
けれどだんだんと業務もデジタル化し始め、かつてのやり方が通用しなくなって
きていた頃、その大先輩方は少しずつやりづらさを感じながらも
まだ「人員整理」という波は遠くはるかに臨むレベルだったのだ。
大先輩たちは、午前中の11時頃と15時頃になると
誘い合いながらだんだんと大きな集団となりながらお茶に連れ立つのだった。
その、そぞろ歩く姿を後ろから見送りながら
私たちは「まるで八百万の神々のようだ…」と
半ば本気でありがたささえ感じたものだ。
彼らは私を、いや、正しくはすべての20代の女性社員を
「お嬢さん」と呼び、(名前を覚える気はない)独特の言語表現をもっていた。
セクハラとかそういう類の話ではなく、
世代特有の表現が、当時私たちにはとても新鮮で面白く思えた。
また、昔語りのなかには、広告屋の醍醐味とも言えそうな夢のように
面白いエピソードが多々あり、
私などは自ら「あの話をまた聞かせてください」などと言って近寄り
ずいぶんかわいがってもらえた。
冒頭の話だ。
今、出入りしている仕事先のひとつが、
20代前半の方々も多く、ほとんどが20代が占める職場なのだが、
仕事、実務以外で彼らと関わるとき、
意識的になのか無意識になのか、
あのころの八百万のおじさまたちを模しているように感じるのだ!!
あえて若干の「昭和感」を出して関わりを持つ自分の不思議を
改めてさっき、くだんのアートディレクターと雑談していて
話したわけだが、
それを彼は「適応力」というのだ。
何への?
そしてどうしてその手法で?
などギモン、わからないことが多いのだが
なるほど、「適応力」ね。さもありなん、
とは感じるのだった。
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