プロの条件を時系列で学んでいくコンテンツ

「プロジェクトランウェイ」が好きだ。

元スーパーモデルのハイディ・クルムがオーガナイズする、

ファッション系のリアリティ番組。

シーズン16では久しぶりに日本人デザイナーが登場していて、

高いセンスとミニマルな独自の世界観でひいき目でなくても上位者なのでは?

(出典:WOWOWオンライン)

ご存知ない方のために簡単に解説すると、

この番組はデザイナーとしての成功を夢見るさまざまなバックグラウンドをもつ

デザイナーやそのタマゴが、オーディションによってまず選抜され、

毎回番組が用意する難易度の高い課題にあわせて、非常に短い時間で作品を仕上げていく。

そしてファッション界の実力者たちに目の前でかなり辛辣な批評を受けながら

1人消え1人消えしつつ番組は進んでいく。


課題の困難さはたとえば、まったく服飾用の素材ではなくゴミや廃材といったものから

リサイクル素材で独創性のある一着を求められたりする。

そして大抵数時間から2日間、もちろん予算も決まっている。

平素の自分が得意とするファッション路線を追ってばかりだと、この辛辣な批評家たちに

容赦なく「それは何度ももう見たわ!違うものが見たいの!」とやられるので

柔軟性が必要だ。今回登場している日本人デザイナーのケンタロウ氏は、ミニマルなデザインが得意でブラック一色でのコーディネートが持ち味だったりするのだが、

それでは勝ち上がれない。となると、色彩豊かなものに挑戦したり、デザインを凝らしていくことなど、自分の決めた殻からどんどん逸脱していくことが成長と受け取られる。

(ケンタロウさんと仲良しのブランドン)

家族や親しい人にも会えず、ライバルであるメンバーと同じところで長く暮らしながら競いあうため、ときには人間的な衝突、ドラマが勃発する。

それでも、そうしたことに心を揺さぶられ過ぎずにミッションコンプリートしていくことが

プロフェッショナルへの道に映る。


私がこうしたコンテンツを気に入っているのは、ひとえにそこにプロの姿を見るからだと思う。

「これは私のテイストじゃないから」とか

「自分のベストを出したのだから負けても悔いはない」とか、

去り際にも顕れる。


ちがうんだ、信じられないほどの大きな舞台と大きな機会を手にすることが約束されているのだから、ここは絶対に勝ち続けることが正義なんだ。

そこにフォーカスし続けられた人、努力し続けられた人だけが生き残る。

このリアルがものすごくエキサイティングなのだ。


ハイディ含む審査員はかなり手厳しい。

「そこまで言わなくてもいいのではないか」と思わなくもない。

けれどちがうんだな、プロになったらこんなのあたりまえの世界。

だったら今、どれだけそれを素直に汲めるかなんだろう。


箱草子仮名手本。

泡沫のように浮かんではパチン、と消えていく。 その「束の間」にピンを指して標本にしてしまおう。

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